日本の不動産バブルは再来するのか — 外国人買い占めの実態を追う

東京の不動産市場に異変が起きている

2024年、東京都心の新築マンション平均価格は1億1,483万円を記録し、バブル期の最高値を更新した。港区の平均は2億円を超え、中央区でも1.5億円に迫る。1990年代のバブル崩壊を知る世代にとって、この数字は既視感を覚えさせるものだ。しかし、今回の不動産価格上昇には、バブル期とは異なる構造的要因が潜んでいる。関係者によれば、都心のタワーマンション購入者の約25%が外国人または外国籍の投資家であり、特に中国本土、台湾、シンガポールからの資金流入が顕著だという。

外国人買い占めの「実態」を数字で追う

法務省の不動産登記データを分析すると、外国人による東京都内の不動産取得件数は2020年の約3,200件から2024年には約8,700件へと2.7倍に増加している。筆者の試算では、金額ベースでは年間約1.2兆円の外国人マネーが東京の不動産市場に流入している。特に注目すべきは、中国人富裕層による「資産逃避」としての購入だ。中国本土の不動産市場が崩壊の途上にある中、資産の海外分散を図る中国人投資家にとって、東京の不動産は「安い」のだ。上海中心部のマンション価格は東京都心と同水準かそれ以上であり、円安効果を考慮すると東京のマンションは「3割引」に見える。ある外資系金融機関の幹部は「中国マネーの東京流入は、中国国内の資本規制が強化されるまで続く」と予測する。

バブルか? 構造変化か? — 2つの見方

現在の不動産価格の高騰がバブルなのか、構造的な変化なのかについては、専門家の見解が分かれている。バブル論を支持する根拠は、年収倍率の異常な上昇だ。東京の新築マンション価格は平均年収の約15倍に達し、1990年のバブル期(約13倍)を超えている。一般的に年収の5〜7倍が適正とされることを考えると、明らかに買い手の負担能力を超えている。一方、構造変化論者は、都心部への人口集中の加速、共働き世帯の増加によるパワーカップルの購買力向上、そしてインフレ局面における実物資産への選好を根拠に挙げる。筆者の見解は「都心部は構造変化、郊外はバブル」というものだ。都心5区の不動産には実需と海外マネーの裏付けがあるが、郊外のタワーマンションは投機的要素が強い。

地方の不動産市場は「崩壊」に向かう

東京都心部の価格高騰の陰で、地方の不動産市場は深刻な崩壊に向かっている。総務省のデータによれば、2024年の全国の空き家率は13.8%(約900万戸)に達し、2033年には2,000万戸を超えるとの予測もある。特に深刻なのは、地方の中核都市郊外と農村部だ。秋田県、青森県、山形県では空き家率が20%を超え、一部地域では100円で売りに出されている戸建て住宅も珍しくない。日銀OBの一人は「日本の不動産市場は『東京とそれ以外』に完全に二極化している。地方の不動産は資産ではなく負債になりつつある」と指摘する。固定資産税、維持管理費、解体費用を考慮すると、相続した地方の不動産は「マイナス資産」というのが実態だ。

不動産バブルは「再来」するのか — 結論

結論として、1990年代型の全国的な不動産バブルが再来する可能性は低い。当時は銀行の過剰融資と企業の土地投機が全国的な価格高騰を生んだが、現在の金融規制はバブル期よりもはるかに厳格だ。銀行の不動産向け融資の総量規制、ストレステストの義務化、LTV(融資額対不動産価値比率)の管理が行われている。しかし、東京都心部の一部地域においては、外国人マネーの流入と供給制約によって、さらなる価格上昇が続く可能性がある。個人投資家にとっての教訓は明確だ。「不動産は立地がすべて」という原則は、人口減少時代にはさらに先鋭化する。東京都心5区の不動産は長期的に資産価値を維持する可能性が高いが、それ以外の地域では資産価値の毀損リスクを真剣に検討すべきである。